既に古典と言われるほど使い古されたテクニックではありますが、「グランビルの法則」をきちんと守るだけで実は負けない投資家になる事ができます。どのチャート教本にも登場する「グランビルの法則」ですが、難易度があり、優しい買い（売り）テクニックから難しい買い（売り）テクニックまで様々です。今回はちょっと難しいですが「グランビル買いの法則4」を不二家＜2211＞で考えてみます。

　グランビル買いの法則4とは？

　「移動平均線が下降しているときに、株価が移動平均線を大きく（下に）割り込んで移動平均線との乖離が大きくなり、リバウンドを狙う時」とあります。

　イメージとしては最近の不二家＜2211＞を考えると分かり易いと思います。日足チャートを見て下さい。

　厳密に言えば25日移動平均線はやや右肩上がりであり、例の事件がなければこのような下落は起こらなかったかもしれません。ところが1月15日事件の報告を受けて大幅に下落しました。

　そんな時に安くなった株を反発を期待して買っておこう。というのが「グランビル買いの法則4」なのです。

　株式投資で勝つ、つまり利益確定するには「安く買って、高く売る」これが大原則でした。

　ですから買う時は「安いのか？」を常に気にする必要があります。悪材料を受け不二家＜2211＞は大きく下げました。確かに安いです。

　ならば飛びついても良いのか？そこが「グランビル買いの法則4」の実はとても難しいところなのです。

　「い」のラインを見てください。25日移動平均線は緩やかな右肩上がりを示しています。いわゆる「上げトレンド」です。ほったらかしにしておいても含み益はどんどん増えていきます。株価そのものは細かく変動していますが「い」のライン、つまり25日移動平均線がちょうど下値支持の役割を果たし25日移動平均線付近まで下がると（場合によっては多少割り込む事もありますが）おおよそ反発が起こっている事がわかります。

　では「う」のラインを見てください。15日に悪材料の発表を受けて思いっきり株価は下落しました。それを受けて25日移動平均線が下を向いてしまいました。いわゆる「下げトレンド」に転換してしまったのです。

　「い」のラインと「う」のラインはトレンドが正反対です。「う」のラインよりも大きく下に離れてしまった株価は「う」に向けて反発を始めるだろう？と予想することができます。そこを買うわけです。

　25日移動平均線から大きく下に乖離した株価、売られすぎた株価が反発上昇することを期待した買いになるわけです。

　ではどれくらいから反発が起こるのでしょうか？その見極めが非常に難しいのです。

　たまたま不二家＜2211＞の場合い、ローソクが分かり易い形で出ました。底を形成した時に出る「毛抜き底」に近い形となりました。ローソクの底が190円台で揃ったのです。

　更に上下に長いヒゲを持つ陰線のコマから大きく空を開けて陽線が立ちました。株価が下がった時の「下離れ陽線」も底を形成したと見る一つのシグナルとなります。

　空を開けて寄り付いた物の一気に買われて上がったと見ることが出来るからです。寄り付きが「底値」と判断できます。

　このようなローソク足からの判断を先ず行いますが、加えて下げのトレンドで有効なテクニカル分析があります。

　ＲＳＩです。「相対力指数」と言います。いわゆる「前日比＋」なのか「前日比－」なのか、一定期間の±の平均値を出します。一般的に20％～30％まで下がると「買い」（売られ過ぎ）又70％～80％まで上がると「売り」（買われすぎ）と考える事ができます。

　ですが、ＲＳＩの指数は絶対的な物でなくあくまでも「買われすぎ」、「売られ過ぎ」が分かるだけです。だから売り、買いというのは他のテクニカル面も含めて解析していく必要があります（直近のローソク足や移動平均線や出来高などはもちろん）

　「あ」を見てください。14日ＲＳＩで25％を下回っています。実際の株価を見てください、大幅に売られ下げ止まったポイントとほぼいっちする事が分かります。

　他にも○を付けてみました。気を付ける点は全ての売買ポイントにＲＳＩが一致していない点です。またＲＳＩでは買われすぎ、売られすぎと出ていても実際の株価は売買のポイントと一致していない事です。

　下げトレンドでのリバウンドでの買いは他に「移動平均乖離率」なども参考になるかと思います。

　そしてリバウンドを期待して買った場合、次に売るのはいつか？ですが、「う」のラインが参考になると思います。大幅に下げて25日移動平均線が右肩下がり、下げトレンドに転換してしまいました。下げトレンドでは原則、25日移動平均線が上値抵抗線になるという事を忘れないで下さい。

　ちょうど悪材料を受け下がった株価は「う」付近で跳ね返されている事もわかります。これは買いの法則4を実行する時に既に予想できる事です。今回は「う」に跳ね返されましたが、軽く上に抜ける事もあります。それでも右肩下がりの25日移動平均線をＧＣしたとしても「弱いＧＣ」であることに変わりありません。間もなく下落が始まる事は十分予想できます。

　値幅が小さくなりがちで買いのポイントが掴み難いのが弱点ですが、グランビル買いの法則4を知っていれば悪材料を受けて利益確定することも可能な例です。

 　不二家の悪材料↓

<日経>◇不二家、埼玉工場の消費期限切れ原料使用18件 01/15 15:15
 
  <日経>◇不二家、埼玉工場の消費期限切れ原料使用18件
　不二家は15日、消費期限の切れた牛乳でシュークリームを製造・出荷していたなどとする問題で、埼玉工場など洋菓子製造の5工場に対して実施していた社内調査の結果を発表した。埼玉工場では過去7年間に、消費期限または賞味期限を過ぎた原料を使用したとの例が18件あった。
 

　
　
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